Ginga

パスト ライブス/再会のGingaのレビュー・感想・評価

パスト ライブス/再会(2023年製作の映画)
3.3
物凄く東アジアっぽいストーリーだ。
運命論的なやり口もそうだけど、子どももいないカップルなら別に別れたってそんな問題ないだろ。ナヨンのキャリアだってパット見大した事ないようにしか描かれない。ヘソンとくっついた方が幸せだろ、って古典的な欧米感覚からすれば思うはず。これがちゃんとアメリカの映画界で受け入れられているのが、ほんとに時代が変わっていることを象徴してると思う。東アジアに共通する運命に抗うことの美徳、みたいなのが長い年月、色んな作品によって示され続けたことが遂に実を結びつつある。
運命よりも選択、一貫性の美徳、自らを律する理性の崇拝。これは東アジアが醸成してきた「家」感覚であり、これからも受け継がれていかれるべき文化。
こういう作品は無数に東アジアにあるのでもっとプロットに優れている作品、例えば「雪国」「マチネの終わりに」をおんなじ監督に映画化してほしい笑
アーサーがユダヤ人なのもアジア的感覚で面白い。
この映画で一番良かったシーンはノラとアーサーがベットで喋るところ。ノラ、ナヨンは期待を背負ってわざわざ韓国からアメリカに出てきたわけで未来はもっといいものであるべきっていう50点くらいの現状で、一方でアーサーはそれなりの本を書いてNYに暮らすユダヤ人っていうまぁ75点くらいの現状。アーサーにとっては及第点だけどノラにとっては全然。アーサーももちろんそんなことは分かってるから苦しい。でもナヨンではなく、ノラとして生きるということは100点の人生は今生ではもう目指さないんだ、っていう宣言でもある。これまたアーサーにとってはしんどい。アーサーが可哀想すぎて泣ける。
東アジア的感覚はここに美徳を感じるんです、これを感じれる感覚が世界に浸透してるなんて本当に良い世界になったもんだ。
ノラがもうあなたとは喋れないって言ったのは欧米っぽくて良かったですな。
12年後のときのナヨンは美人でしたねぇ。ヘソンは24年後のときの方がカッコよかったけどリュックがダサすぎて無理。
自由の女神行くの草すぎるし、あのメリーゴーランド知らなかった。またニューヨークへの憧れが増えました。
階段と坂の分かれ道、階段でガンガン登るナヨンに長い時間をかけてゆっくりと坂を登り続ければ追いつけるんですよ、みたいになってて良かった。
もうちょっと長く時間が取れれば、妹と喋ったりするシーンもあっても良かったり?
あと8000層の「イニョン」擦りすぎてるけどあの説明って一般常識なんでしょうか?
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