トランティニャン

パスト ライブス/再会のトランティニャンのレビュー・感想・評価

パスト ライブス/再会(2023年製作の映画)
3.0
個人的に肩透かし。予告編みたいにエモくはなく、むしろ視線と表情、上品で大胆な撮影で語る抑制されたストーリーだった。監督の自伝ということもあり、現実的な落とし所なのかも。
優しきアメリカ人の夫が急にリアルな不安をペラペラ喋るので、主演?と思ったり。最後もあんなエグいロスト・イン・トランスレーションないって。

問題でもあり美点でもあるかもしれないが、長い年月の割に互いに対して一向に熱量が上がっていかないのだ。24の時は小学生の初恋の相手、36の時は結婚しちゃってるがゆえかもしれない。結末ありきの温度調整なんだけど、男は急に想いをぶちまけたりもする。最後の2分はガマン大会でえらい濃かったけど。

幼なじみと会って、彼に韓国らしさを覚え、そして自身をも韓国らしさを再認識するくだりが印象的だが、彼はノラにとって置いてきたアイデンティティそのもの。一方夫の存在はグリーンカードという勝ち得たアイデンティティでもある。と考えると熱量問題も割と合点がいく。