ストーリーは極めてシンプル。
なので、演技と演出・撮影や編集でいかに行間のフィーリングを芳醇に膨らませられるか、という繊細な作り。
こういう作品はその時々の自分の嗜好やコンディションによってこの上なくバチっとはまったりするものだけど、そういう意味では今作は自分にとってそのタイミングではなかった。
感情的なピークはメインの2人よりむしろヒロインの夫の側にあり、そこが後半の展開においてやや意表を突いたフックになっている。オープニングかつクライマックスでもあるバーのシーン、メインの2人の熱量が高まれば高まるほど、観客は陶酔するというよりひたすらいたたまれない気持ちになるという苦さ。