りざ

パスト ライブス/再会のりざのレビュー・感想・評価

パスト ライブス/再会(2023年製作の映画)
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鏡に映るものの奥に持つものは偽りかもしれず、映し出すものは必ずしも真実ではない
本心を隠し、自らを偽ることは必ずしも上手くいくわけではない
"鏡"と"境界"が随所に活かされた作品で、いろいろなところで気づきがある
領域を侵す、広げる、属する、そのすべてに意味が見えてくる様は面白い

本当はもっと複雑で単純には済まない話なんだろうが、ヘソンとナヨンの物語であることに焦点を当てると必要十分な情報量だった
その分感情移入という点では惜しさを感じるが、ある意味、客観視に近しい状態にあることによってラストシーンの熱量は高まってくる


そして、アーサーが強い。強すぎる
自分のポジションを理解し、その中で出来る最大限の自己表現をヘソンにもナヨンにも向けてて、それが本当に深みを与えてくれている

"イニョン"の話をアーサーにノラから聞いたと言われるヘソン
あのシーンは本当にたまらなかった
韓国人として、口説き文句であることを知っているからこそ、彼女の愛は12年前から自分に向いていないことを実感してしまうのはもどかしくてしょうがなかった
ノラはそこに居合わせていなかったからこそ、余計そう感じてしまった


縁と輪廻、その中で生きているという感覚は環境や文化が違っていても理解されるものなのだろう
西洋では潜在的意識にあるものではなかったからこそ、この評価、拡がりへと繋がったのだと思う
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