ノラとヘソンのイニョン(縁)にまつわる24年
12歳、海外移住のため韓国とカナダで離れ離れになる。
24歳、Facebookで再会するも、リアルに会うこともなく、疎遠になっていく。
36歳、ノラは結婚しており、ヘソンとニューヨークで再会する。
誰もが経験しているようなエピソードと誰もが空想したif
輪廻転生という東洋的な思想や、韓国とアメリカのコミュニケーションギャップを組合せた内容は、アメリカ人に新鮮に映ると思いますが、登場人物の長い片思いや、とある行動に「う〜ん💦」と思わせる部分もいくつかありました。
しかし、この作品はそんな欠典をチャラにしてしまう映画の醍醐味を堪能できます。
12年毎の人生の積み重ねを感じさせる、語り口の素晴らしさ。
リアルに沁みる台詞の数々。
『君の寝言は韓国語だけ。君は僕の知らない言語で夢を見ている』
この台詞だけで、作品のプロット全体を表現しています。
余白の多い映像の空気感。
ニューヨークでノラとヘソンのデートシーンでは、マディソンスクエアパーク〜ブルックリンの回転木馬〜自由の女神というロマンチックな舞台装置と長回ショットによる初々しいしささえ感じるドキドキ感を感じさせます。
そして、ラスト近くの見送りのシーンは、永遠とも瞬時とも感じられるエモーショナルなシーン。
何度も観てみたい屈指の名シーンになっています。
3人のアンサンブルも素晴らしい。
現代的で負けず嫌いのノラ、韓国の慣習に引き摺られた優等生のヘソン、そしてナイスガイのアーサー。
冒頭の3人のシーンも、各キャラクターと作品全体のトーンを見事に表現してます。
脚本・監督・プロデュースのセリーヌ・ソンの自分の経験を元にした作品。
とてもデビュー作とは思えない、良い映画を観た後の余韻の広がる作品です。
まだ、30代!
これからの人生を経て、どんな芳醇な作品を撮るのか、楽しみでなりません。
私が観たアカデミー作品賞候補MYBESTです
1.オッペンハイマー
2.哀れなるものたち
3.ナイアド 〜その決意は海を越える〜
4.キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン
5. パスト ライブス/再会
6. 落下の解剖学
7. バービー
8. マエストロ: その音楽と愛と
『関心領域』も楽しみです♪