「縁」が重要なキーワードになっている。
韓国語で「인연(イニョン)」
元の漢字は「因縁」らしい。
ノラの使う縁は、運命を都合よく解釈するもので現実的な意味を感じる。
ヘソンの使う縁は、ロマンチックに酔いしれている感じ。
この映画によく出てくる、縁や輪廻転生は仏教にまつわるもの。
私たち日本人にとっては馴染みのある言葉だけど、アーサーや海外の視聴者の方はどう感じるのだろうか。
ノラとヘソンが再会してしまうことを危うく感じながらも、久しぶりに会うんだからと2人きりで会うことも許してくれる夫アーサー。
ノラの韓国語の寝言や、ヘソンと話す言葉が理解できず黙っているアーサーが、まるで移民のように描かれているのが印象的。
移民に影のスポットライトが当たっていたのかなとも思う。
ラストシーン、これの別れが最後、もう会うことはないと悟った二人の駆け引きのような時間が切なくて苦しくて耐えていたら、玄関で待っていてくれたアーサーの優しさにノラと同時に涙が出た。
会うたびに惹かれ合い、三度も恋した二人の「縁」とはなんだったんだろうか。
けど結ばれていたとして幸せになれたのかは分からないし、ノラが言ってくれたようにこの時の二人を心の隅に置いておいて、たまに思い出して心がキュっとなるのもいいなと思える。