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パスト ライブス/再会のkのネタバレレビュー・内容・結末

パスト ライブス/再会(2023年製作の映画)
4.3

このレビューはネタバレを含みます

めっちゃ良い映画だった!!!
映像も音楽も俳優も全部バランスが良く、複数の都市を描いてるにもかかわらず、違和感なく一つの作品に溶け合っている。

ロマンチックであると同時に、すごく現実的に(リアリティを持って)観られた。
情緒に訴える部分と、考えさせられる部分の配分が絶妙で、観た後も心地よかった。

恋愛ものというより過去についての話、アジア系の移民の話でもあるし、パートナーシップの話、取り返しのつかない人生選択の話でもある。

「あの3人どんな関係だと思う?」という冒頭の場面からずっと、二人の様子をまさに覗き見ているような心地。電車内や船での窓越しのショットの画がすごく決まっていた。

アーサーがとにかく良い男。ノラの寝言が韓国語だった、というきっかけで韓国語を勉強し始めるきめ細かさ。ユダヤ人の彼も葛藤や劣等感を抱えている。
一方、ヘソンにはそのような寄り添いや繊細さはない(英語できないままNYに来ちゃうあたりなど)。ごく普通の典型的なアジア人男性。だからこそ故郷を思い出させる存在でもある。
バーで彼らが2人きりになるシーンは本当にドキドキした。。

ノラの自立したキャラクターも好感が持てた。多分どんな選択をしても、彼女なら大丈夫、という信頼感がこの映画を支えていた。アーティスト・イン・レジデンスで夫と知り合うというのも、極めて対等で受け身じゃないしね。

終盤、12歳の別れを再体験した彼女は、泣き虫な女の子に戻ってしまう。泣いている彼女を抱きしめるアーサー、、、でもその次に映るヘソンのタクシーは、未来(右)へと向かっている。

運命を「イニョン」と紹介するくだり、「袖振り合うも多生の縁」という日本の諺を思い出す。あれは仏教的な価値観だったのね。

夫婦、恋人、親友など、ぜひ大事な人と一緒に観てほしい作品でした。特に同世代(パートナーはいるけど子どもはいない層)に響く作品だと思う。

Facebookで相手を発見して、Skypeで12年ぶりに通話する場面(発信音…笑)、すごく2012年って感じで懐かしかった。

にしても、24年前好きだった人に会いに行くとか迷惑すぎ!と言ってる人は、12年前時点で2人が画面越しに親密になって、でも会えなかったことを思い出してくれ。。

(12歳の頃の初恋、というのが良いんだと思うよ…。別れの痛みとノスタルジーの間に留まってる。それ以上、大人に近い年齢でも生々しいのでは。確かにヘソンの側に子供時代に固執する理由があれば、それを描いた方がより良かったかもしれない)
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