このレビューはネタバレを含みます
今年観た中でいちばんすきだったかも……
なにも特別なことは起きないけど、起きないからずっと胸の奥がぎゅーっとなる感じ。絶妙なところで保たれる関係。過去の面影がちらつく。どうしたって惹かれてしまう。それでも理性をもって一歩踏み込まない。違う環境で育った自分と過去の自分はもう違う生き物だといえる。衝動的に踏み込んだところでいい方向に転がることなんて何一つとしてないと2人が1番わかっている。今世の自分では幸せにすることはできないけれど、絶対に幸せになってほしいと思う人なんだろうな。
終始彼らの言動で動く物語だった。彼らの言動が思考が移りゆくまま物語が進む、それが心地よさがすき。
あの三叉路に画面がぱっと切り替わったところでぶわっと泣いてしまった。あそこで人生が別れてしまった2人は次の人生ではどんな交わり方をするのだろうか。その余韻の残し方もすき。
最後に別れに耐えきれず泣いてしまうノラに寄り添うアーサーの愛の真っ当さにも心打たれる。今はここを選ぶことにちゃんと正しさが透けて見える。この物語でもやもやを残さず終わらせる綺麗さがよかった。
カメラワークも構図もインテリアも劇伴も全部全部お話の邪魔をしないのにふっとしたときにうわ〜〜〜おしゃれだなあ〜〜〜っておもってしまうそのさりげなさ、たまらん。