ぽみょ

パスト ライブス/再会のぽみょのレビュー・感想・評価

パスト ライブス/再会(2023年製作の映画)
3.9
韓国系カナダ人のセリーヌ・ソン監督のデビュー作。

彼女が自身を重ねたストーリーは、幼い頃韓国で結婚を誓ったふたりが24年後に再開するというもの。

時間そのものは止まることはないし、戻ることも決してない。人生において過ぎ去った過去(パストライブ)はもう固定してしまった現実。ただ、一周まわったらまた次の新しい一周が始まる。あのメリーゴーランドはまさにパストライブス(複数形)のメタファーなんだな。

イニョンって概念、僕ら日本人にとっては馴染みが深いので理解はしやすかった。
「韓国では女性を口説く時にイニョンの話をするの。」冗談混じえながらもイニョンを信じる彼女のセリフが素敵。

冒頭のシーン、良すぎた。この3人どういう関係なんだ??ってワクワクさせてくれる。印象的でとても魅惑的。

アーサーの気持ち考えたら辛くてやり切れない。自分の奥さんに彼女と同じ母国の初恋の人が会いに来て自分の知らない言語で話してるなんて、相当な疎外感感じるし不安なるよそりゃ。「彼に比べると僕との関係は平凡すぎる」彼の自虐を含んだセリフは切ない。
でも誰も自分の感情には抗えないしノラを責めることはできないなぁ。

韓国人とアメリカ人の対比は興味深かった。

過去に出会った異性って、記憶の中で残り続けて、ましてやまだもしかして可能性があるんじゃないかなんて思ってると自分の中でどんどん特別な人になっていく感覚、とても分かる。過去の人って思い出す回数も多いし記憶が間欠強化されていくんかな。そんな人が自分を求めて会いに来るって、そんなんやばいって(語彙力)。

いい意味で控えめでしみじみと味わい深い映画でした。

個人的にソウルもニューヨークも行ったことあって大好きな街だったので終始目を輝かせて見ていました。
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