アネモネ

パスト ライブス/再会のアネモネのレビュー・感想・評価

パスト ライブス/再会(2023年製作の映画)
4.6
鑑賞中もかなり胸にくる場面が多々あったけれど、今こうして作品を思い出すと色々な改めて感情が込み上げてきてぐっとくる。
誰に感情移入したとかないし、もちろん自分に当てはまるエピソードなんて全くない。
なのになぜこんなに考えてしまうのか。

この映画には後悔がないと思いました。
んー、違うな
なんて言うか…後悔しない為の選択。


イニョン
信じてみたいです。

それぞれ生きてきた12年は、まさに当時のネット環境のように上手く交わらなくて。
ナヨンにとって感情に浸かる事によってなりたい自分が揺らぐ事を恐れた再会は、タイミングのように見えるけどこれもイニョンで決まっていたような。
それもまた切ないけど、
あのキリッとしたナヨンは素敵でした。
祖国への思いもあるけれど、アジア人が夢を叶える事でさえ大変なNYでナヨンがしてきた選択は必然だと思いました。

ソワソワする気持ちを抑える為のような再会の時の服装
帰宅後に鏡に映った彼女が2つに分かれた瞬間
夜に会った時のドレスアップ
くぅ〜、うまい!
私まで少しだけ胸がキュッてなる。


旦那さんとヘソンが2人きりになったときの苦しい時間と温かい会話は、
3人でいるだけでヒリヒリ痛む時間なのに、なぜか温かい気持ちになった。

私も東京に住んでから頑張ってたつもりだけど、私と違って自分らしく生きていて羨ましかったし、そんなノラを好きになった旦那さんと出会えたノラは眩しかった。


観終わって、恋愛映画じゃなくて人生の選択の映画だったんだと私は解釈します。
私だったらずっと後悔しちゃうかもしれない
だけど3人とも後悔や心残りを乗り越えた気がする。
そして旦那さんみたいな人になりたいと思ったり。
クレジットの役名がナヨンじゃなくノラだって事にもセンチメンタルな物語ではないと監督の意思も感じました。

友達が恋愛映画にある盛り上がりが全く無くて良くなかったと言っていたけど、その逆!
もう全てが素晴らしかった!
そしてこの映画を良いと思える自分で良かったです。
自作も良かったら、きっとリチャード・リンクレイターのように大好きな監督になりそうで楽しみです。
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