リコリス

パスト ライブス/再会のリコリスのレビュー・感想・評価

パスト ライブス/再会(2023年製作の映画)
4.5
ミリ単位で表情を変えるヘソンの切なさが一番印象に残った。
当然ながら見る人の人生、年齢、経験により、見え方が違うのでしょうが。

先入観無しで機内で見て胸を捕まれた。絶対封切り後に大スクリーンで泣こうと思いながら見ていない。

後から韓国と都市部インテリアメリカのジェンダー観、景色や自然に被せる心理描写、ニ言語使い方、階段と平地の意味あい、過去が左側で未来は右側、輪廻の回転木馬…などなど、考え抜かれた映像や台詞であることを知る。かなり作為的、人工的なのに驚く。

ノラが捨てたはずの韓国文化。選んだのは移民大国アメリカ文化。周りをなぎ払って適応していくにはアーサーみたいな受容男性が必要だろうから(アーサーにもノラの強さが)。ユングのアニマとアニムスみたい。

N Yから韓国に帰るセソンにどんな変化が、と思うと辛い。ノラたちは乗り越えた、絆が深まった思いだろうし、芸術に関わる仕事に就いてるから、切ないなりにモリモリ糧にしちゃうんだろう。

だがセソンには、更に彫り込まれてしまった切ない記憶、抱えたまま忘れられないよ、きっと。
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