松井の天井直撃ホームラン

宮本武蔵 般若坂の決斗の松井の天井直撃ホームランのレビュー・感想・評価

宮本武蔵 般若坂の決斗(1962年製作の映画)
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☆☆☆☆

内田吐夢監督と中村錦之助の宮本武蔵シリーズ第2弾。

隠匿生活970日。人間的な成長を遂げ武蔵(たけぞう)から武蔵(むさし)と改め人間形成の旅を始める。
その為にお通さんを振り切ってまでの旅。
直接武蔵(たけぞう)時代に縁が在った人物達との再びの縁は、武蔵(たけぞう)の命を狙うおばばのみ。
それでも多くの縁の在る人達が間接的に武蔵(むさし)と絡み合う。

吉岡一門との再戦を約束し、舞台は京都から奈良へ。
荒れ放題の奈良の街並みを横目に見て、武芸を極めんとする錦之助武蔵。
その姿に、「御身は強すぎる」と何故か弱くなる勧めを説く月形龍之介。
作品中白眉の錦之助=龍之介ががっぷり四つに組んでの演技合戦は見所充分。僅かの出演場面だけで、その存在感を存分に見せ付ける月形龍之介の貫禄在る演技力が素晴らしい。

映画は最後にワイドスクリーンをたっぷりと使った、般若坂の決闘のクライマックスへ。
東映時代劇としては珍しく、身体に槍が突き刺さり。血飛沫が飛び、首も飛ぶ場面に若干の違和感を感じつつ。最後に利用され騙された怒りを露わにする錦之助=宮本武蔵。
“人間として…”との自分探求の旅は怒りの“無情感”を抱いて更に続く。

武蔵(たけぞう)時代を知る者達との縁は…。
そして、やがて現れる“あの男”との縁はいつの日か…。

2009年3月20日 新・文芸坐