regency

妖怪の孫のregencyのレビュー・感想・評価

妖怪の孫(2023年製作の映画)
3.0
詳細レビュー↓
https://cinemarche.net/column/dakara77/

歴代最長在任総理大臣の安倍晋三を改めて検証する意欲作。
断片的には知っている事柄も、深掘りすればいろいろとつながっていたことが分かる。つながっているとは、安倍の祖父・岸信介政権時代を指す。
岸と安倍の関係は、アメリカ大統領の親ブッシュと子ブッシュのそれに近いと思った。親のコネで自分も政治家になるも、実力を認めてもらいたくて、ダメなりに一生懸命やって父の跡を継いで大統領になった息子。でも穴だらけの政権が仇となってイラク戦争を勃発させ、一時は史上最低の大統領とまで言われてしまった。
安倍もまた、学生&会社員時代を「要領の良さ」でこなして議員となり、尊敬する祖父のように首相となった。さらに祖父を追い越す手段として憲法改正を選び、アベノミクスを掲げた。しかし、「何事もうまく見せかけることが大事。成功とか不成功は関係ない。やってるって事が大事」と自ら語ったというその政策は、完璧とは言い難かった。
岸政権の頃から癒着していた統一教会。それが孫の悲劇を招いてしまう皮肉ぶりや、地元四国の火炎瓶投擲事件にまつわる証言など、驚かされること必至の事実が次々と露わになって興味深い。ただ、監督の前作『パンケーキを毒見する』でも用いられた風刺アニメは、今回は蛇足だった。
regency

regency