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劇場版 ヤジと民主主義のyoshikoのレビュー・感想・評価

劇場版 ヤジと民主主義(2023年製作の映画)
4.1
ニュースなどで事件や裁判の概要は知っていましたが、映像で見ると改めて戦慄します。冒頭は、大杉さんや桃井さんが警察官に腕をつかまれたり、しつこくつきまとわれている状況が、当事者の撮影映像などでしばらく続くのですが、見ていても鳥肌が立つような恐怖を感じました。これまで隠されてきた、警察は「国家」を守る暴力装置だという本質が突然現れて、警察は市民を守る存在だというのは私たちの思い込みにすぎなかったという事実を突きつけられるのは苦しいことでもあります。

映画で、自民党のスタッフが大杉さんを拳でこづいていたことも知りました。もちろん暴力行為で、警察が撮影した映像に映っていたのですが、警察はこの犯行が時効を迎えるまで映像を裁判に証拠資料として提出しなかった。その姑息さにあ然とします。

一方で、この事件の後で、街頭演説で叫んでも政府に反対するプラカードを持って立っても警察に排除されることはなくなったそうです。彼らが声を上げたことで変化が起きたのです。「やってもどうせむだ」というあきらめこそが、権力者が最も望む「被統治者」の態度です。様々なことを考えさせられました。
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