べし酒

サウンド・オブ・サイレンスのべし酒のレビュー・感想・評価

3.7
まあ現象としては「ライト/オフ」の音版ということで取り立てての目新しさは感じないけど、CGを使用しない単なるフィルムの繋ぎ効果が意外にも恐怖心をくすぐってくるというね。しかもボリュームONにすれば姿を表すと分かってるのにそれなりに怖いというね。
というわけで前半はホラーとして結構楽しめたんだけど…

後半に差し掛かって母娘の霊(?)の手助けで怪異の正体が見えてきた辺りからはやや安易な感じ。霊体(なのかは分からないけど)にしては何故か物理的な大音量が苦手らしく、防音室で爆音ロックに苦しむ姿には笑ってしまった。
まあ霊の記憶からの心理的トラウマな側面や、或いは空気の振動波が霊体の波動を乱す(?)的なことを勝手に想像して楽しむ余地があるか(笑)

主人公が歌手を目指している設定から最後は唄うのかと思ったけど、3人の叫び、それも母娘霊の音にならない叫びをスピーカーよろしく主人公が拾って父霊にぶつける構図は単純に画としての力も感じられて良かったな。

最後は割とアッサリ片付いてからのエピローグは、そら来たぞのスピーカーの行方…からの全く今作と関係ない別の怪異を見せてくるのが面白く。
確かにこのパターンで2作目作ってもちょっとやり様が難しいしね。

というわけで割と前半のホラー度と、後半とエピローグの面白さでなかなか楽しめました。
べし酒

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