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もしかしたら私たちは別れたかもしれないのsymaxのレビュー・感想・評価

3.6
"出ていく…別れよう…"

ついに言ってしまった…美大の同級生として出会い、恋に落ちるのにそれ程時間は掛からなかったアヨンとジュノ…時は流れ…公務員試験を浪人中のジュノは、アヨンのアパートに居候中…ジュノを支えるため、将来を有望視されていた絵画の道を諦め不動産業に就職し生計を担うアヨン…二人は結婚するものと誰もが思っていた…気がつけば30代となっていた二人の間に流れるのは…漠然とした倦怠感…そして突然の終わり…

全くノーマーク、たまたまの鑑賞でヒョン・スル監督登壇トークショーのおまけ付き…熊みたいないかつい感じなのに、こんな繊細な作品がデビューとは中々の力量の監督さんです。

愛した人と別れ、そして赤の他人となっていく過程を描く、ほろ苦いラブストーリー…

自分の夢を諦めた分、ジュノの自堕落な生活ぶりが許せなくなってきたアヨン…

アヨンを想う気持ちはあるけれど、アヨンの期待が重しのようにのし掛かり閉塞感に嫌気がさしているジュノ…

お互いを大切な存在と認識していながらも、お互いに求め過ぎ、押し付け過ぎ、甘え過ぎ…そんな心情が何気ないセリフや仕草からチラチラと見え隠れするリアル…

結構、重い話ではありますが、時に笑いを挟みながらサラッと描いており、私的にはみょ〜に刺さる部分がチラホラ…

性別や年齢、人生の経験値によって見方が色々と変わってきそうな作品でございました。

鑑賞中は…7年間付き合って内5年間を遠距離恋愛だったあの子を思い出すことに…今はどこで何をしてるのか全く分からない他人…でも自分の人生の大事な一部となっているのは間違いなく…何か切ないねぇ…

忘れたつもりでも、どこか心の奥底に保存していた記憶が、バァッと込み上げてきてしまうのでした…ラストのワンカットはたまんないです…
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