KeiRalph

自分革命映画闘争のKeiRalphのレビュー・感想・評価

自分革命映画闘争(2023年製作の映画)
3.7
9月いっぱい閉館する京都みなみ会館、できる限りの思い出を残しておきたく今日も立ち寄りました。60年の歴史の中で、私が通ったのはほんの数年間なので偉そうに語れるレベルではないですが、通うきっかけになったのは、この劇場でリバイバル上映された「狂い咲きサンダーロード」から。当日、石井岳龍監督、渋川清彦さんも登壇され、ちゃっかりポスターにサインまで頂いた。劇場がなくなる事の無念さを、壁に飾られたサイン入りポスターと共に記憶しておきます。

そんな個人的思い入れいっぱいの石井作品最新作、ようやく見る事ができました。で、感想ですが…いやー!いつもながらのGO FOR BROKE!

石井監督が教授を務める神戸工科芸術大学のワークショップの一環。学生は監督が作る映画にスタッフとして加わり、世に公開されると考えれば、ファンとしては羨ましいとしか思えないシチュエーションですが、キャストも学内の講師や学生が演じるため、良くも悪くも、出演もする石井監督の独壇場となる。66歳(当時)という年齢を考えれば、かなりのエネルギーの浪費だったに違いない。

私も映像を学ぶ大学に通っていた過去があるが、課題作品や自主制作となると、学生同士の馴れ合いや慢心により、自分の技術を度外視した構想に振り回されて、最終的には破綻の道を辿るものだが、この作品のようなワークショップ形式の方であれば破綻なく、更にはプロとしての仕事を学べるのだから大変羨ましい環境ではある。

細かい演出など、学生がどこまで関わっていたのかも気にはなりますが、主たるところは学生のマインドを通じて映画の捉え方や関わり方の変革を促すこと、そして映画という見る=見られるという構造を改めて考える、という講義内容と、映画の主題が共存しています。

前述のように、学生だけで作れば単なる馴れ合いの作風で、楽屋落ちの如きうちわのウケ狙いな作品になるところを、先品性を担保し、外に向けてに見せるとはこういう事だ!と身をもって示した事で、実際に出演、制作に関わった彼ら、彼女らが今後どの様な活躍を見せるのか、とても気になります。
KeiRalph

KeiRalph