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顔のない天使のmonochicaのネタバレレビュー・内容・結末

顔のない天使(1993年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

夢見がちな少年チャックは、空軍の士官学校へ入学したいが学科で落ちてしまった。母へ再試を受けたいと申し出るのだが、母は元々この受験に反対しているところがあり、あまり乗り気ではない。異父姉には馬鹿にされ邪険に扱われ、友達も無理だろうと揶揄していた。
ある日、チャックは仲間とボート遊びをしていたところ、近所では怪人と噂の男マクラウドの敷地へと入ってしまう。そこで彼が元教師であったことを知り、チャックは彼に教えを乞おうとする。
マクラウドは自動車事故により教え子を死なせてしまい、その為に顔と体の半分が醜く焼け爛れ、服役した過去があった。

見せ方が凄く上手いなぁと思った作品。
序盤の夢や、マクラウドの穴を掘らせる思惑、姉がチャックを嫌う理由など2時間内で気になるところはほぼほぼあきらかになる。
チャックがバットマンの悪役トゥーフェイスのコミックを読んているシーンもあり、子供達がどんな目でマクラウドを見ているのか想像できるのも面白い。チャックの成長と純真さと、マクラウドの心の傷と再生が重なる「傷が見えなくなった」という台詞は実に名シーンだった。

良い話。であるが、一方で見た目や経歴に関する事実無根の噂のために正しく見られないことへの迫害が辛い。映画を見ている私達はマクラウドを理解することができるが、現実は作中の人々のように良くない話を聞く人間を恐れ遠ざけようとする。当たり前なのだが、この悲しいすれ違いには、受け入れがたい寂しさがある。
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