ねむろう

マイ・ハート・パピーのねむろうのネタバレレビュー・内容・結末

マイ・ハート・パピー(2023年製作の映画)
3.2

このレビューはネタバレを含みます

2024新作_005


キミたちが、教えてくれた。


【簡単なあらすじ】
弟のように可愛がる愛犬“ルーニー”のために定時退社に真面目なミンス。しかし、ある日突然ルーニーと一 緒に暮らせなくなってしまったのだ。一方、野心的にオープンしたカフェがつぶれ、金欠に苦しむジングク。ジ ングクは従兄弟であるミンスの切迫した SOS に悩んだ末、ルーニーの里親探しの面接を提案する。人生崖っぷち の 2 人は完璧な里親を探す旅の先々で、行き先のない子犬たちとの運命的な出会いをする。この子犬たちとの出 会いが、2 人の人生を大きく揺るがすこととなる。



【ここがいいね!】
全体としては、非常にコメディであり、ハートウォーミングな作品でした。
ルーニーを引き取ってもらおうとしていたにも関わらず、自分たちがいろんな犬を引き取り、旅を経験する中で自分たちが変わっていく、非常に感動的というか、エモーショナルでいて、王道な作品になっていと思います。
「動物モノ」の映画は様々ありますが、非常にバランスが難しいものなのだろうなという感じはあります。
動物を主役にしすぎて、動物に人格を乗せてしまうような作品があれば、動物が脇に置かれてしまうような映画もあり、そう考えると、今作の犬たちについては、人間ドラマを動かす一つの装置のようなものになっていて、この辺りのバランスでちょうど良かったのかなと感じます。
全体を通してみると、主人公であるミンス、そしてその兄と慕う従兄弟のジングク、それぞれが生きてきたこれまでの人生に一区切りを置いて、また新しい人生を始めていくというお話でした。
しかし、これまでのものをなかったことにして、全く新しい自分になるというわけではなく、これまでのものを受け入れ、これまでのものを背負って、新しい人生を始めるという着地こそが、この作品のハードウォーミングなところにつながっているのかなと思います。
そんな中で、ルーニーというものが、自分がしっかりと見取ることができなかった「お母さんの死」もしくは「お母さん自身」になってくるのかなと感じました。
最終的には、「結婚相手」か「ルーニー」かどちらかではなく、どっちもしっかりと見届けるんだというところの描き方は、非常に誠実だったなと思います。



【ここがう~ん……(私の勉強不足)】
ミンスとジングクが旅の途中で出会う人々や直面する問題は、基本的には解決されずに終わるわけです。
そう考えると、旅の途中、そして旅を終えて変わったミンスとジングクに対して、その途中で出会った人々はこれまでもそうだし、これからも変わらないというところで、終始してしまったかなと思います。
実際に、それは変わらず問題としてそこに依然として存在しているというところを投げかける作品なので、仕方ないところではありますが、途中で出会う人々は、「かき割り」のような形になってしまったのはもったいないなと感じました。



【ざっくり感想】
非常に着地の良いハードウォーミングな、そしてクスッと笑えるコメディに包まれた温かい作品でした。
欲を言うのであれば、新しい生活を始めたミンス・結婚相手・ルーニーとの生活や、ジングクが開こうとしている保護犬と一緒に過ごすことができるワンちゃんカフェの様子も描いてくれると良かったのかなと感じます。
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