茶碗むしと世界地図

マイ・ハート・パピーの茶碗むしと世界地図のネタバレレビュー・内容・結末

マイ・ハート・パピー(2023年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

 2023年製作の韓国のコメディである。

 出てくる犬がとにかく可愛いし、死んだり不必要に不幸になることもないので安心して見られる内容だ。大型犬が好きな人も小型犬が好きな人も推しの犬が見つかるはずだし、犬好きなら充分楽しめる映画になっていると思う。
 そういうわけで犬好きの私も犬だけ見ていれば満足できるのだが、ただ、これ2時間かけるほどの話なのかなぁ……という気がしている。ミンス(ユ・ヨンソク)が愛犬ルーニーとの絆を再度深め合うにしてもちょっと冗長さを感じる……というか、途中で捨て犬とか保護犬とかと出会う下りがあんまり効果をあげていないと思う。たぶんミンスとルーニーとの話だけでは弱く、いろんな犬を登場させようと考えたけど広げすぎた風呂敷をたためていないようなところが見受けられる。見ながら多頭飼いへの諷刺なのかと思ったのだが、別にそういうものではなく、ジングク(チャ・テヒョン)が再びカフェを開業してそこでみんなを飼うというオチも安易すぎるのではと思った。また、ミンスがルーニーを手放そうとする件と母親の死の件は微妙に論点が違っていて、そのへんの落とし方もちょっと強引に見えるところはある。

 しかしながら、この映画のとても良いところとして、犬と暮らす人間のさまざまな人生のとらえ方を描いているという点がある。フェリーで出会う女性も宿の主人も、それぞれ犬と暮らした結果どういう人生を選んでいるかということを短い場面で端的に示しているし、多くの保護犬を引き取っているアミン(キム・ユジョン)も冷徹に見えるが、彼女なりの犬に対する思いやりなので一概に否定することはできないんじゃないかと思う。ペットブームについての啓蒙映画としてはぬるいが、犬と暮らすことを真剣に考えて作られた映画である。