このレビューはネタバレを含みます
もう今年はこれなんじゃないか?
というくらいハマった作品となった。
にしても韓国作品のエンタメ性と芸術性の止揚の精度の高さに驚かされる。
この作品はあらゆるメタファーやセリフによる表現がとてもわかりやすくなっているんだけど、ギリギリチープになっていないレベルで成立していて映画という媒体が持つわかりやすいエンタメ性と読み解いて楽しむ芸術性の両取りをしていた。
その映画としての温度感はちょうど自分にとって居心地が良く、作品世界にずっと浸っていられた。
中身の話をすると、この作品のテーマは「親友=魂の一体化」というべきか?
ジャンルとしては「バディもの」になると思う。
「バディもの」は二人のキャラの特性を分かち合う瞬間、つまりは二人のキャラが一体化する瞬間がカタルシスになるが、この作品は「一体化」そのものをテーマにしているため、バディもののカタルシスとテーマの体現の二つの感動を感じられて、鳥肌がたった。
「一体化」のモチーフはくどいくらいに作品内に入れられている。
顕著なのが赤ん坊の名前で、二人の名前が名づけられた赤ん坊はこの二人が一体化したメタファーとして機能している。
絵を描いている二人が重なるシーンや、相手から見た自分を描くシーンなどもそうだ。
「完璧だった日々」→「すれ違い、別離」→「一体化」の流れは型として転用できるがシリーズにするとすれ違い、別離の時期にストレスが溜まりそう。