このレビューはネタバレを含みます
真実と嘘の境界が故意に曖昧にされた、プラトニックな愛の人間関係を描くムービー。
一度回想内で進んで過ぎ去った時系列に対して、また別の回想が挿入されて戻ってそれを補う、または修正する（洞窟のキスシーン、病院のシーンが顕著）という時系列の反復技巧をたびたび用いる。また、登場人物はたびたび言葉で嘘をつく。これらにより、この映画では真実と嘘の境界がぼかされている。
この技巧が、次の2つの効果を生み出す。まず1つは、キム・ダミとチョン・ソニのベッドで見つめ合いながら「あなたが嫌いだった」と言い合うシーンのことばの真実性をつき崩している。もう1つは、最後のバイカル湖を見つめるチョン・ソニのシーンに活きてくる。つまり彼女は、本当はバイカル湖に行っているのではないかという可能性を、否定しきらないという効果である。
