豚肉丸

Boris Without Béatrice(英題)の豚肉丸のレビュー・感想・評価

Boris Without Béatrice(英題)(2016年製作の映画)
4.3
無自覚に他人を抑圧してしまう癖のある男は鬱病の妻を抱えている。ある日見知らぬ男に呼び出され「妻の病気が治らないのはお前が原因だ」と責められる。それを機に男は自分自身を見つめ直そうとするのだが...というお話

全然上手く進行しなくて面白い。大抵物語のキッカケとなる出来事が起これば、その後はストーリーラインに乗って進みそうなものなのに、本作は主人公の厄介な性格のせいで全く事が進まないのだ。(そして案の定「何やってんだ」と叱られる)
ドゥニ・コテ監督らしいシュールな演出がやはり要所要所で冴えていて面白い。なんと言っても男が真っ暗な野原に呼び出されると、突然照明がつけられてまるで舞台劇のような舞台上で忠告を受けるあの場面。この後にもこの舞台は登場するのだが、かなり印象的な演出で面白い。

シュール味を感じさせながらも現実的でブラックな物語も良かった。ただ無自覚モラハラ男が90分間悶々とするだけと物語ながらも、シュールな演出と現実と妄想を入り混じらせた構成が合っていて飽きずに普通に楽しめた。
ドゥニ・コテ監督、決して滅茶苦茶面白い訳では無いけど妙に印象に残る少し変わった映画が多くて好きだな...
豚肉丸

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