ダニエル・シュミットが日本を描く
女形役者、坂東玉三郎を軸にした物語。
「女形をしてるのに、僕は本当の女の目で世界を見たことがないのです。」
凄い…。この映画の言語化できない映像の奥深さ。
この映画は、すべて本物にになれず可能性の限りで生きた人たちの話。
女形を演じながら女になれない坂東玉三郎やトップ女優ではなく母親役ばかりだった杉村春子、肩幅が広く芸者に向いていなかった武原はん。そして、日本を描きながらスイス人である監督のダニエル・シュミット。
それでも映画という現実に勝てない媒体を通して虚実を生み出す。
『Twilight geisha story』で行われた遊び。美しい坂東玉三郎の姿。
シュミットはこの前に『トスカの接吻』で元オペラ歌手の老人たちを蘇らせた。『書かれた顔』では日本のオペラである歌舞伎を用いて描き出す。
本作のが、セリフを多用せず動きだけで見せたのは「日本の美」を知っていたシュミットの感性に驚かされました。
素晴らしいドキュメンタリーでした。