クロスケ

書かれた顔 4Kレストア版のクロスケのレビュー・感想・評価

4.9
本作を元に再編集して構成された大野一雄のアートフィルム『KAZUO OHNO』は既に鑑賞済みでした。レナート・ベルタのカメラが見事で、それはそれで独立した作品として素晴らしいものでした。
しかし、この度本作を観て、坂東玉三郎のシークエンスを軸とした様々なシーンが加わることで、お互いのシーンが絶妙なアンサンブルを生み、まったく別の映画に変貌するという新鮮な感動を得ることができました。

中でも、杉村春子が口元を扇子で隠すチャーミングなショットに、さり気なくピアノの旋律が重なってきたかと思うと、大野が澄みきった美しいブルーに染まった黄昏の埠頭で踊るショットに繋がっていく流れには思いがけず涙が零れました。
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