みや

ビヨンド・ユートピア 脱北のみやのレビュー・感想・評価

4.0
虫のように生きてきました。

脱北者を支援する牧師のドキュメンタリー。脱北者に密着した映像がメイン。

北から南へ渡るだけだと思っていたのだけど、現在は国境付近に200万個の地雷が埋められていて不可能。そのため、中国、ベトナム、ラオスを抜け、タイに着いてようやく大使館へ逃げ込むことができる。前者三国は共産主義なので捕まれば北に強制送還されるという。

時折挟まれる脱北した人たちの話、脱北しようとする家族の話で、幼少期からの洗脳がどれ程のものかと思い知らされる。
外部を一切遮断した情報統制、恐怖を植え付ける政策。聖書丸パクリの元師物語は失笑。
80代のばーちゃんが「元師様は若くて賢くて立派な方なのに、国が豊かにならないのは私達の働きが悪いから…」みたいなこと言ってる横から、嫁が「米の一粒だってもらったことないじゃない!」とキレてましたが。

どんな国でも故郷に変わりはなく、脱北移動中に故郷の歌を合唱したり。小さな子供が、母親が亡くなった子供の歌を歌っていて、幼子が歌うようなのじゃないよなと。

でも、北の成り立ちに、日本の朝鮮統治が関係していることを知って複雑な気分になった。日本もあのまま軍部独裁でいったなら同じような事になっていたのかも知れない。そして、政治に無関心な今、ほっといたらまた戻ってしまう危険もあることを感じて欲しい。デモを起こせとは思わないけど、せめて選挙には行きましょう。

ひとつだけ、80代のばーちゃんが川を渡り、真夜中のジャングルを10時間歩くのだけ気になりました。ほんとに80?
みや

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