コーディー

ビヨンド・ユートピア 脱北のコーディーのレビュー・感想・評価

4.2
独裁や洗脳、拷問など、この国への漠然とした認識を遥かに超えるディストピア感に言葉を失ったし〝脱北〟という聴き慣れた言葉に潜む絶望的な旅、ある家族の悲壮な覚悟を通して伝えられる北朝鮮の実態。
賢い人なのに…と指導者を尊ぶお婆ちゃんの揺らぎが辛過ぎた。凄い映画でした!

国境を越えても何も安心できないどころか、送還の恐怖が常に付き纏う脱北ルート。
その過酷さに緊張感が途切れないし、幼い娘や80代の祖母までが山岳地帯をひたすら進む現実とは思えない光景に時折ドキュメンタリーなのを忘れそうになった…
けれどそんな脱北を支援するキム牧師の志や温和な人柄に観てるこちらも幾らか救われた。

世界で1番幸せな国なんだよ〜だから何も望まないように!という教育を物心ついた時から刷り込み縛る。
記録映像や元脱北者の証言の数々に目を、耳を疑いたくなるけど、そんな邪悪な洗脳を拭えずに生きてきた祖母の表情がその絶望を物語ってたし、外からでは知り得ない現実に触れるって意味でも観て良かった。