Blue

ビヨンド・ユートピア 脱北のBlueのレビュー・感想・評価

5.0
タイトル通り、北朝鮮からある家族が脱北する映画。これの何が凄いかと言えば、見つかったら家族も処罰、あるいは女性は人身売買されるし、カメラマンも生きては帰れないという事。

単なるドキュメンタリーとしてもかなり強烈なのだけど、脱北していつ捕まるかわからないというハラハラどころか、心臓に悪い体験を映画館にいる観客と一体になって見る体験。

誰1人くしゃみも咳も出来ず、ポップコーンのかじる音すら邪魔ですくみ上がりながら、見終わった後は知らなかった内実に、北朝鮮の現状を憂いながらもどこか観客皆んなで乗り切ったというかな。
こういう体験こそ映画館で鑑賞する醍醐味だなと実感です。もちろん目の前にある問題は壮絶である事を受け止めた上での事ですが。

両親が暗殺されてアメリカに亡命して航空会社で働いていたのちに、エチオピアのコーヒー農園会社を設立してそこで働いた事があります。
アフリカ/エチオピアは世界で最貧国と言われていますが、標高が2000メートルのところにあり、道中はジャングルで行く手を阻まれます。

エチオピアはこのジャングルによって中世時代で最も強いと言われるオスマン帝国やヨーロッパの植民地を支配を逃れたアフリカ唯一の国でもあります。
何度となく攻めてもジャングルと野生動物とそして密林での戦い方を熟知しているエチオピアの兵士の前に倒れ支配される事はなかったのですね。
今でもエチオピアでは国連など主導の下で道路を作られようとするのですが、片っ端から壊されます。もしエチオピアを横断するような道路ができたらスーダンをはじめ隣国から侵入/侵略を許しかねないという事もあります。故に交流/交易ができないところでも最貧国という点があります。
この映画でもジャングルが行く手を阻むのですが、この道なき道を行くのがどれだけ困難か、わかるかなと思います。

久々にえらいもん見たと実感しました。札幌はなかなか劇場に入っていたけど、あまりヒットしてないと話も聞きました。ぜひ皆んなで「体験」してください。

2024年ベストの一本目。
Blue

Blue