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ビヨンド・ユートピア 脱北のsnatchのレビュー・感想・評価

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サンダンス映画祭で、シークレット上映されUSドキュメンタリー部門で観客賞を獲ったというので観に行きました。各国のブローカー達や匿名者も交えて携帯電話も使い記録していった秘密裏に撮影された映像の束。以下、内容に触れています




北朝鮮の数パターンのニュース映像から私が想像していた状況よりも、何倍も悲惨で知らない事実もあった
北朝鮮の報道機関は1テレビ局のみ、インターネットは普及していないから、外国は北朝鮮よりもはるかに貧苦に喘いで酷い暮らしだという政府の話しを国民は本当に信じていると、脱北者は真剣に話す…衝撃…心の中では罵倒、我慢している人も大勢いるのかと。これでは、中から独裁政権反対の感情が生まれるはずがない。他の裏道情報もある情報制限している国とは違う
幼い頃から、違反行為をした人への処罰 処刑も見ていたと亡命者からの証言も聞かれた
強制収容所に送られた人々が拷問死以外にも、飢えや寒さで死ぬって…この2024年にそれを確認するとは…

このドキュメンタリーに出てくる、脱北の支援を続けているキリスト教牧師のキムさんの行動力には驚く、毎日大勢の人が牧師さんに連絡してくる
自身も中国、ベトナム、ラオスと現場に行って運転逃避行 隠れ家 ジャングル 川渡りと同行する。この記録映像の中でキムさんに助けを求めた家族は、80歳の祖母 娘夫婦 幼い娘姉妹の5人家族。鑑賞しながら何度もこのままお婆さん死ぬんじゃないか、子どもの泣き声が聞こえちゃう、早く早くライト消さないと、牧師さんも怪我…ずっと常にスクリーンのこっちにいる私にも緊張を強いる。この脱北の過酷さを世界に伝える方法は、やはりこの危険な撮影手段しかない。やり切った撮影チームが凄い

キム牧師は北朝鮮と中国政府にもマークされているが、彼はある信念に従って支援行動を続け、1000人以上の人々を脱北させている
もちろん脱北出来なかった人、捕まった人も、亡くなった人も大勢いる


映画館は満席に近かった。もしかしたら、北朝鮮と韓国の人々が一緒に観ていたのかなあと勝手に想像した。そこに日本人の自分も加わったこと、朝鮮半島の歴史を思うと身体が重たくなる

これからミサイルが発射する度に、この記録映像や北朝鮮の人々のことが頭を過ぎると思うドキュメンタリーだった
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