レインシンガー

ビヨンド・ユートピア 脱北のレインシンガーのレビュー・感想・評価

4.0
日本人としては観ておくべき映画だった。
ドキュメンタリーなのに、いや、ドキュメンタリーだからなのか、ここまで現地の人々に接したことを撮影できるものなのか?という驚きがある。
北朝鮮という国の言動は、日頃のニュース等でなんとなく少しは分かってるつもりになっているのだが、そこで暮らす人々のひどい生活ぶりなどをこうした形で知ることが、日本という国の「国際的対応」への理解にもつながるはずだ。
生活に必須の水を手に入れるだけでも必死である北朝鮮の人々が、唯一頼りにする「脱北ブローカー」がしょせん金目的であり、金にならない人を、じゃあどうするか?そして、その人自身にとって何が頼りか?それは映画のサスペンスのエンジンでもあるが、それをエンタテインメントととらえることはできないくらいヒリヒリした作品である。編集がスピーディで飽きさせない、とか、そういう美点を述べることも失礼な気がしてしまうが、巨匠原一男が「ドキュメンタリーこそ面白くなくてはならない」と言ってくれているので、ビビらずに言うなら、映画としても面白く、隣国を理解するのに役立つ、骨太の一本。
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