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マリウポリの20日間/実録 マリウポリの20日間のmegurosのレビュー・感想・評価

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2022年2月24日、ロシアがウクライナへ本格的な軍事侵攻を開始。ウクライナ南東部の中核都市であり、ロシア国境から50キロも離れていない場所に位置するマリウポリは、大きな港町であるためロシアの軍事作戦において戦略的に重要とされ、真っ先に侵攻のターゲットとなった。人道回廊がなかなか開かない中、多くの民間人が犠牲になっているとニュースで見かけたあの街だ。

海外メディアは全て退避。監督は唯一残ったAP通信のウクライナ人記者で、本作はロシア軍に包囲された街の惨状を写す。世界が目撃したマリウポリの様子はこの人が文字通り命懸けで撮ったものだった。その映像はロシアメディアから俳優を使って撮影したフェイクだと言われるが、自分には監督が死を覚悟しながらも使命感で撮影していたものとしか思えなかった。

空爆は民間人の命を、住む場所をも容赦なく奪っていく。生後間もない赤子も、幼児も、妊婦でさえも関係ない。水・電気・インターネットは止まり(だからこそ本作のフッテージも監督自身が生き延びなければ公開されることはなかった)、食糧さえも尽き、街では人の本性さえ露わになる中、ジリジリとロシア軍が戦火と共に迫ってくる様子が内側から記録されている。

自分が娘を持つ親であるためか、子を失った親たちの悲痛な叫びが胸に刺さる。パレスチナの惨状にしても、こんなことが許されていいのか。自分はNHKでの放送を見逃したがYoutubeで鑑賞。是非多くの人に見てもらいたい。
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