ヤマ

マリウポリの20日間/実録 マリウポリの20日間のヤマのレビュー・感想・評価

4.0
2022年2月、ロシアがウクライナ東部マリウポリへ侵攻を開始する。AP通信の記者ミスティスラフ・チェルノフと取材チームが戦禍に晒された人々の惨状を命がけで撮影した記録映像。第96回アカデミー賞長編ドキュメンタリー賞受賞。

「この映画が作られなければよかった」アカデミー賞授賞式でチェルノフ監督が語ったとおり、作品としてすばらしいと評するのも語弊が生じるかもしれない。壊滅していく街と人間の惨状にただただ感情を揺さぶられ、胸を締め付けられる。そこにはニュースや報道では伝わらないものが確実に捉えられている。

一方、公開された声明文で監督は「マリウポリから情報が発信されず、破壊された建造物や瀕死の子供たちの画像が無ければ、ロシア軍は何事も意のままにできてしまう」と撮影と発信を続けた理由について言及している。どんな賞よりもそれこそが本作の最も重要な意義であるのはまちがいない。多くの人が観るべき作品だと思う。
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