はぐれ

マリウポリの20日間/実録 マリウポリの20日間のはぐれのレビュー・感想・評価

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市民病院へ向けられる戦車の砲塔。瓦礫の山と化す産婦人科の病棟。1歳にも満たない赤ん坊に施される心肺蘇生術。

AP通信の記者が命懸けで撮影をするウクライナ侵攻の真実。息をするのも忘れてスクリーンに釘付けになる。これが本当に現実に起こっていることなのか?と、目を覆いたくなるような悲惨なマウリポリの街の映像が次から次へと映し出される。目を覆いたい。目を覆って楽になりたいが、罪なき子供達が犠牲になっていくあまりに理不尽な惨状、ひとりの独裁者の気まぐれによって戦禍に巻き込まれた市民たちの怒りと涙の訴え、そしてそれを決死の覚悟で世界へと届けようとするウクライナ人の現地の記者の姿。そんなものを見せられたら1秒たりとも見逃しちゃいけないってなっちゃうよね。

「ウクライナ人として生きていきたい」「ロシア人になるのだけは絶対にイヤ」。こんな当たり前の願いを撥ね付けてしまうのが戦争なんだよね。人間の根源的な支柱を平気でへし折ろうとしてくる。
そしてこんなにもリアリティのある命懸けの映像に対して「フェイクニュースだ!」と北朝鮮も顔負けの幼稚で恥知らずなキャンペーンを張るロシア政府…。こんな国が隣国であることが恥ずかしいし恐ろしい…。

一刻も早くウクライナの地に平穏な時間が戻ることを願わずにはいられない。
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