右折

マリウポリの20日間/実録 マリウポリの20日間の右折のレビュー・感想・評価

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ロシアがウクライナに侵攻していることはニュースなどで目にしていたから知ってはいたけど、頭のどこかで別世界のことだと思っていた。ニュースの内容や映像にフェイクだとかは思ったことないけれど、私が笑って生活してる同じ時に同じ世界でこんな残虐なことが起こってるって信じたくなかったのかもしれない。
生々しくてスクリーンから何度も目を逸らしたくなったけれど、瞬きさえしたくないとも思った。

学校でアニメーションや白黒の写真での戦争についての教育は受けていたけれど、これはもちろん色もついてるし鮮明な映像で、今起こっていること、過去ではないことがひしひし伝わった。映像がひどくリアルで生々しいからこそ伝わった。まだ身体も成長しきっていない手足の小さい子供が、本来なら外で遊び回ったりゲームをしたり‘楽しむ’ことを学ぶはずの年齢の子どもが「死にたくない」と涙をこぼす姿は泣くことしか出来なかった。出てくる人全員、大人も子供も目の下にくっきりとした隈があったのが印象的だった。

この状況を知ったからといって何か明確に変わるわけでもなければ直接的に何かできるわけでもない。でもこの映画を観て良かった。何も出来ないけど知ると知らないでは、何か大きく変わる気がする。人に強くお勧めはできないけれど、多くの人に見て欲しいと思う。この映像を20日間、命の危機に脅かされながら撮り続け届けてくれた記者も、映像に出て話してくれた現地の方達も、感謝の言葉しかない。でもこんな映画なんて制作されない世界が良かった。
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