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マリウポリの20日間/実録 マリウポリの20日間のyamabbeyのレビュー・感想・評価

4.3
ロシアのウクライナ侵攻直後の様子が描かれているが、理不尽に戦争に巻き込まれた一般人老若男女の様子がとにかく生々しい。

砲弾に家を壊されパニックを起こす老女、サッカーをしていて被弾し死亡した少年と傍らで泣き崩れる父親、病院が砲弾で崩れ怪我を負い後日死亡が判明した妊婦、赤ん坊や子供を救えず戦争やプーチンに感情的に怒る医師、泣きながら怒る店のオーナーの目の前で略奪を行う一般市民、などなどとにかくキツい。

非人道的な市街地での戦争の様子を世界に伝えようとするジャーナリストとそれを支える警官や軍人の様子に、人間の強さや美しさを見て若干救われるが、せっかく世界に報道された映像もフェイク扱いされた時には怒りと絶望を感じたが、熱斗社会の現代の戦争の一面なのだろう。

概念として戦争がこの映画の数々の映像で一気にリアルに感じられた。ただ、外交の一形態としての戦争は今後もなくならないだろうし、ナイーブに戦争はダメと叫ぶだけでは世界は変わらないだろう。今は、ウクライナに限らず戦争やテロの起きている地域でニュースにならなくてもこの映画のような非日常を死を意識しながら生きている人達がいることをこれまでよりも強く思うことしかできない。
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