アカデミー賞長編ドキュメンタリー賞受賞。2022年2月、ロシアがウクライナに侵攻を開始し、マリウポリへの地上侵攻するまでの20日間を撮影したドキュメンタリー。この記者はネットも遮断される中、複数台の携帯で衛星電話など使い動画を分断しながらAP通信社本部へ送っていたとのこと。ロシア軍に捕まってしまうと「この映像はフェイク」と言わされてしまうため、何としても捕まることなく持ち帰る必要があった。
現実のマリウポリは侵攻86日目でロシアに陥落されており、犠牲になった民間人は25000人以上と言われる。両足を吹っ飛ばされた少年や生後18ヶ月で死んだ子供、砲撃で亡くなった妊婦などを見せる。ある程度の覚悟が必要。
今回恐ろしいと感じるのはこの映像の悲惨さもあるが何が真実で何がフェイクなのか分からなくなってしまうこと。実際に病院に砲撃を受けた映像はロシア側はフェイクと反論しており、そこから助けだされた妊婦は後でAP通信社と異なる話をしている。ロシアでは徹底的なプロパガンダでこの映像は国民皆、フェイクと思っている。
ちなみにそのニュースがこちら
https://youtu.be/E5XinvvND4w?si=qNwkUFPxjPhG_Xht
そしてこれも恐ろしいのが妊婦のインタビュー側がロシアで、この妊婦は今はロシア側のドンパス地域で暮らしているということ。AP通信社はこのインタビューに対しての反論を証拠とともに公開している。
『情報戦を制するものが戦争を制する』。映画で出てきたロシア側の主張である。何が真実で何がフェイクなのか、それが現代の戦争の怖いところだな、と思うのである。私達の身に振りかかった時、プロパガンダに騙されない目が欲しい。
2024年39本目