第96回アカデミー賞の長編ドキュメンタリー賞受賞作で授賞式で監督のミスティスラフ・チェルノフが〝こんな映画が作られなければよかった〟とスピーチしたことが印象に残っていた。
監督はAP通信社のウクライナ人記者。戦争の悲惨な現実を目の当たりにさせられるとともに、ジャーナリズムとは何かということを見せつけてくれた作品だった。
2022年2月、ロシアによるウクライナ侵攻が迫るなか、東部の港湾都市マリウポリに入ったチェルノフとその取材チームが、現地から配信したニュースや彼らが撮影した戦時下のマリウポリ市内の映像をもとに制作。
この戦争をよその国の出来事として見るか、現在進行形の出来事として見るか我々に対して問いかけてくる。様々な情報が飛び交う中、何が真実で何がフェイクかを見分ける力も求められる。過去も歴史も変えることは出来ないが、正しい情報を入手し、真実を見て、知って、未来に活かすことは出来ると思う。
