森の精霊

マリウポリの20日間/実録 マリウポリの20日間の森の精霊のレビュー・感想・評価

5.0
ロシア軍がウクライナ マリウポリの街を侵略する20日間を命がけで撮り続けた記者の実録映像。
映画というより歴史的資料という方がしっくりくる。
あまりにも凄惨すぎる内容なので、心が強いときに観賞推奨。

2022年2月にロシアはウクライナ侵攻を開始し、当初こそは自分が生きているうちに大国の戦争なんて起こるのかと驚いたが、時間が経つと自然と無関心になり、恥ずかしながら完全に他人事だった。
ロシアの空爆から必死に逃げる男性はプーマの上着を着用し、シェルター代わりのジムの地下室に避難した人々はスマホを懐中電灯として使っていて、自分となんら変わらない文化的生活をしていた人たちなんだとすぐに思い知らされた。

戦争で真っ先に犠牲になるのは子供で、その様子も当然のように映像には収められている。
子供が死ぬのはフィクションでもキツいのに、カメラを回している今この瞬間に冷たくなっていく姿があまりにも辛く、席を立つことすら考えた。
銃や戦車、戦闘機といった兵器はフィクションの世界ではカッコよく描かれることが多いが、もともと人殺しのために作られたモノだったと再認識させられる95分だった。

戦時中の映像は昭和の白黒のものしかみたことがなかったので、鮮明で高画質な映像は衝撃で、もはやフィクションであってほしいくらい凄惨で残酷な場面が嫌というほど流れていく。
本当にこれが現実?と頭が理解を拒みそうになるほどの乖離感があり、劇場を出たあと、平和な街並みを横目にマリウポリの人々もかつてはこんな日々を過ごしていたのかと思いながら帰路についた
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