ひでG

マリウポリの20日間/実録 マリウポリの20日間のひでGのレビュー・感想・評価

4.4
AP通信取材班として命懸けで撮影したミスティスラフ・チェルノフさんのインタビューでの言葉がこの映画の全てを物語っている。

「私たちは歴史を正しく記録し、真実を明らかにし、マリウポリの人々や命を捧げた人々が決して忘れられないようにすることができます。
なぜなら、映画は記憶を形成し、記憶は歴史を形成するからです。」

家が破壊されて、病院から炎が上がる。
幼い命も次々と奪われていく、まさに地獄のような街

そんな中で爆撃を受け、市民と共に逃げながらもカメラを回し続けるチェルノフ記者。
画面のブレがその瞬間の緊迫感を表している。

そんな中でカメラを向けられるマリウポリの市民たちは、
「この惨劇を、ロシアの非道極まりない攻撃を、記録してくれ!そして、それを世界に知らせてくれ!」と叫ぶのだ。

これほどまでに切実なニーズがあった記録や発信があっただろうか。

目を逸らしたい映像が続き、恐ろしさと悲しみと怒りが同時に湧き上がってくる。

それは作られたものではなく、過去の出来事でもない。今、今起きている、そして続いていることなのだと思うと、情けなくもなってきた。

ニンゲンって何なんだろう、、、
たまたま、この日は、「猿の惑星 キングダム」も続けて観たのだが、21世紀になっても、殺し合いを止められない、殺し合いをするリーダーを支持するニンゲンとは、
かくも愚かな生き物なのか、、、

街は焼かれ、家は破壊されても、多くの人々は、ロシア人になることを拒むと叫ぶ
あの男に服従するのは死ぬより嫌だと叫ぶ

記者はインタビューの際、必ずと言っていいほど、マイクを向けられた人の名前を聞く。
「名字は?」「名前は?」と。

それは、犠牲者何人の数字に消されてしまう、命を奪われた人、家族を奪われた人、
その個人の記録であり、記憶だからなのか。

意味のない争うで失っていい命なんて1人もいてはいけない。

どんな権力者、国家にも誰かの人生を終わられる権限や理由なんてあるはずがない。

産まれたばかりの小さい命をそこでストップさせることなんて誰でもしてはいけないはずだ!

私はこの戦争を始めたあの男と、それを支持する人たちを憎む、憎み続ける。

自分ができることは何か。まずは、この映画のことを書こうと思った。一人でも多くの方が観てくれるように。

劇作とは全く異なる観点だが、ごめんさい
点数なんて付けるのは違うと思うが、
この映画が起きていることを記録し、それを観てもらうというドキュメンタリーの原点だとも思うので、付けさせてもらいました。
劇場も回数も少ないのですが、観てほしい映画です。
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