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虎の尾を踏む男達のkazu1961のレビュー・感想・評価

虎の尾を踏む男達(1945年製作の映画)
4.0
🔸Film Diary🔸
▪️本年鑑賞数 :2021-657 再鑑賞
▪️死ぬまでに観たい映画1001本-※※※

🖋おすぎが1番愛している黒澤作品ですね。井上陽水も絶賛していました!!黒澤明監督作品唯一の時代劇&ミュージカル風の一風変わった作品ながら、そのインパクトと才気は絶大。なんと言っても黒澤監督の演出とエノケンの素晴らしさが際立った作品です。

🖋 能の『安宅』とそれを下敷きにした歌舞伎『勧進帳』を元に、道化役であるエノケン演じる強力のエピソードを付け加えて、喜劇仕立てに脚色した作品です。武蔵坊弁慶演じる大河内傳次郎の重々しく素晴らしい演技の対局に、エノケン(榎本健一)をキャスティングする事で、義経一行の悲壮感と予測される滅びゆくもの達の悲劇感を、その軽妙な演技があることでより際立たせることに成功しています。ひとえにエノケンの迷演技の賜物ですね。

🖋エンディングで勧進帳の六方をエノケンに踏ませて退場させる演出は、さすが黒澤明と唸ってしまいます。そしてミュージカル風と言われる所以、能の地謡にあたる部分を洋楽のコーラス風にアレンジしていたりするのも斬新。とたも惹きつけられる作品です。

🖋また、本作1945年に製作された作品でしたが、終戦を挟んで撮影されたため、終戦直後のGHQの検閲によって1952年まで公開が認められませんでした。その時の逸話として、黒澤監督は怒り爆発で検閲官にこう言ったそうです。「くだらん奴がくだらんという事は、くだらんものではない証拠で、つまらん奴がつまらんということは大変面白いということでしょう」と。。。

😆Story:(参考:yahoo movies )
兄の将軍源頼朝に追われる身となった義経は、山伏姿に変装して弁慶らと共に唯一の理解者、奥州の藤原秀衡のもとへ向かう。が、途中の安宅(あたか)の関所では関守・富樫左衛門が山伏姿に身をやつした義経一行を待ち構えていたのだった。そのことを麓の村で雇ったおしゃべりな強力(ごうりき)から知らされた一行は、弁慶の計略で義経を強力姿にすることで穏便に関所越えを目指すのだったが……。

🔸Database🔸
・邦題 :『虎の尾を踏む男達』
・原題 : ※※※
・製作国 : 日本
・初公開 : 1945
・日本公開 : 1952/04/24
・上映時間 : 59分
・受賞 : ※※※
・監督 : 黒澤明
・脚本 : 黒澤明
・原作 : ※※※
・撮影 : 伊藤武夫
・音楽 : 服部正
・出演 : 大河内傳次郎、藤田進、榎本健一

🔸Overview (参考:映画. com)🔸
能の「安宅」とその歌舞伎化の「勧進帳」を原案に、源頼朝から終われる身となった義経と弁慶一行の“安宅の関越え”を描く。黒澤は義経一行7人に付き添う軽妙な強力(ごうりき)を新たに配し、よく知られたこの話を、実にに軽快なコメディとして映像化した。大河内伝次郎演じる堂々の弁慶とエノケンのおしゃべりな強力、この対比の妙がこの映画を非凡なものにしている。息詰まる関所での問答とその後の晴れやかでいて物哀しいエピローグ。緩急自在の演出が堪能できる実に中身の濃い中編。
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