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虎の尾を踏む男達のnt708のネタバレレビュー・内容・結末

虎の尾を踏む男達(1945年製作の映画)
4.1

このレビューはネタバレを含みます

面白い映画、洒落た映画には今まで数多く出会ってきたが、粋な映画には初めて出会ったように思う。言うなれば、ちょっと寄った小料理屋で絶品の小鉢に出会ったようなそんな粋な小品、、戦時中からこれほどに面白い映画を作れてしまうことに黒澤の映画監督としての心意気を感じるとともに、『勧進帳』という日本には古来からこんなにも素晴らしい芸能が存在していたことに感心させられた。

本作最大の功労者は強力だろう。全てのカットで目を離せないコミカルな動きと表情。特に最後の飛び六方からのズッコケは、思わず「いよっ、成田屋」と言いたくなる観客の気持ちを見事にズッコケさせてくれた。黒澤と言うと動の中にある動を描く派手な作品を作るイメージだったが、こんな粋な映画を作っていた時期もあったのだと、勉強になった。黒澤映画を製作順に観ていくと、黒澤の監督としての変化が垣間見えて面白いかもしれない。
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