とても穏やかに身体へ沁み込んでくるタイプの作品。
宅配ドライバーがチャリンコで製品を運び、友人と話し、ご飯を食べて、そしてまた運ぶ。
出てくる役者陣がまた渋い面々。
中島歩、染谷将太、高良健吾、井浦新、柄本佑。
はい、ミニシアター系作品好きならもう想像できちゃうよね、香ばしいデキる役者陣の魅惑的な匂いが。
馴染みの中華屋でたまたま一緒になった配送仲間、子供ができたのを機に田舎へ引越す話をされたときの丸(中島歩)の目が憂いを帯びる。
友人のお祝い事、喜ばしいのにちょっと胸に引っかかる寂しげな表情がリアルなんだ。
やっぱりこの仕事はいつか引き際が…どこか満たされない空虚な想い。
ちゃんと感謝もされるし、それなりに今は幸せ。でも…
「いや、俺は明日も走るだけだろ？」
そう、自分に言い聞かせるような中島歩の哀愁漂う背中にやられてしまう一本。
短編とはいえ味わい深く、好みな物語でした。
ちなみにこの作品で好きなのは中華屋での会話。
丸「ここは餃子が旨いよ」
ヒデ「昨日、餃子食ったんだわ」
丸「炒飯も旨いぞ」
ヒデ「麺が食べたいんだよなぁ」
気心知れた友人同士だとこんな適当な会話よくあるよね(笑)
親しみ感じさせるトークにほっこり。
