美しいとみせかけて人間の醜さを描いていたような作品だった
現地の人がアイスランドのことを「美しいが醜い土地だ」といった風に形容していた
『ゴッドランド』とタイトルにあるようにこの作品ではアイスランドを“神の国”として描いていたように感じた
われわれ人間が想像する神の国は理想郷として美しく描かられるはずだ
その美しさがアイスランドの広大で美しい自然に反映されていたんだと思う
しかしそれはあくまでわれわれ人間が都合よく思い浮かべている、いわゆる“欲”で創造されたものと言っても過言ではないだろう
キリスト教において欲望はあまりよくないものとして見做されているはず
人間の欲で構成された世界（神の国）は醜いものに違いない
その醜さはアイスランドの不毛で何もない土地と重ねられているのでは
またそれと同じように神様自体も二面性を持っているのではないかと思った
神様は尊敬される存在である一方でわれわれ人間を平等に扱ってはくれない
そしてその神様から創られた人間も同様である
それが本冒頭の「美しいとみせかけて人間の醜さを描いていたような作品だった」に繋がっている
完成途中の教会で結婚式を挙げるシーンまでは『ノマドランド』のような自然の美しさと人間の素晴らしさが描かれていて素敵だなあと思っていたけど、命を救ってくれたラグナルを殺したり、おそらく処女のアンナを完成したての教会で犯すなどラスト付近のルーカスはひどかった
でもこれが人間の本来の姿なのかもしれない
アイスランドでの撮影も過酷だっただろうな
馬を引き連れて険しい山道を歩くシーンとか命懸けの撮影だったんじゃないだろうか
撮影賞あげたいくらい
イーダと犬（ポメラニアン？）が終始可愛かった
