カーズWSA

ゴッドランド/GODLANDのカーズWSAのレビュー・感想・評価

ゴッドランド/GODLAND(2022年製作の映画)
5.0
恐れ入りました。
観る前は勝手に小洒落た説教系だと勝手に思ってました。だって『ゴッドランド』ですよ。
観て良かった。長かったけど。

19世紀、アイスランドがデンマークの植民地だった時代、デンマークの牧師ルーカスが布教目的でアイスランドの僻地へ向かいます。
行く前の注意事項、ちゃんと守れたかな。

前半は旅。後になぜ海路をとらず陸路で来たのか聞かれますが、人との出会いや風景の写真を撮りながら来たかったから、と答えてます。
要するに異国の地を理解しますよ、という姿勢。
できてるかな。

むき出しの地は美しく過酷である中、異文化コミュニケーションどころか理解する気ゼロに見える牧師ルーカス。体は消耗、心は焦燥、早々にリタイアとはなりませんが、ひとりテントで、帰りたいよぉ、って。神よ、とか言ってるけど要は帰りたいもうムリ、と。

おそらく終始一貫、神デンマーク人の牧師が辺境の地へ布教しにいくんだ、というスタンスが見え隠れ。でもアイスランドの神は大自然。これを前にしたら何者も何者でもないんです。

僕も帰ろおうちに帰ろ、と言ったら次に待ってるのはでんでんでんぐり返ってバイバイバイ。馬上で気を失い落馬して坂にひっくり返って横にですがゴロゴロ、そしてバイバイバイ。

ここのカメラワーク、同じやり方がまた後で出てきますがグルリひとまわり素敵です。

後半は村パートですが表層的なうまくやってる感とたまに出てくる牧師の精神的なちょっとした傲慢さ。渡米した谷沢のプレーをビデオで観た安西先生の気分です。

とにかくアイスランドの景色が綺麗で素晴らしい。わあキレイ!っていうんじゃなくて、荒涼とした大地、むき出しの自然、媚びない美しさ。
それを大画面じゃなくて昔のテレビの比率みたいな画面で見せてくるもんだから、より媚びない感が見て取れました。

僕はケバいメイクの女性が好きでさらに、別にアンタのために化粧してるわけじゃないから、とか言われたら恋に落ちてしまいますが、別に誰に見せるわけでもないから、と薄いメイクしかしない女性も好きです。何の話か。

さらに村ではその自然と共存してる人たちの生活が流れ、馬を駆ってたくましく走る女性はもう美しくてしょうがない。
村人の結婚シーンでの(ここでもルーカスにはヒトコト言いたいんですが)、野郎達の相撲みたいな柔道みたいな対決とか。
あと馬が朽ちてく様子は秀逸。

自然と戯れて自然を生かし自然と対峙してる様子が別に綺麗じゃないのに綺麗。例えば『リバー・ランズ・スルー・イット』みたいな(好きですよ、念のため)綺麗な綺麗さじゃない。
これぞ自然体。江角マキコより自然体。

「何か用か?」、じゃねーっつうの。

お話の内容も映像も含め何がそんなに琴線に触れたのかイマイチわかってませんがとにかく魅了されました。
これホント観る前は完全に舐めてました。

参った!恐れ入谷の鬼子母神だ!
最近アマプラに出てきましたゴジラ−1.0。僕はシロクロ派ささきくらのす系です。
カーズWSA

カーズWSA