カタパルトスープレックス

ゴッドランド/GODLANDのカタパルトスープレックスのレビュー・感想・評価

ゴッドランド/GODLAND(2022年製作の映画)
4.3
19世紀後半のデンマーク領だったアイスランドを舞台としたフリーヌル・パルマソン監督作品。

テーマは「不寛容」だと受け取りました。それは自然の不寛容でもあり、人間の不寛容でもあります。主人公はアイスランドの自然だと思いました。とにかく圧倒的に美しい、しかし情け容赦なく厳しい。主人公の牧師ルーカスが持ち込む宗教と写真機が人間の叡智だとしても、それを簡単に受け入れてくれないのが自然。

主人公ルーカスは人間の不寛容を体現しています。デンマークから植民地アイスランドで教会をたてる任務に就く。カメラに没頭して地元の人たちと相いれることはない。撮影をしていない時も宗教という自分の中に閉じこもってしまう。自然にとって人間が異物であるように、アイスランドにとっても自分は異物である……そのように思ったのかどうかはわからないが徐々に緊張感が高まっていく。

ルーカスのキャラクター造形が見事ですし、その対極となるガイドのラグナルもとても味がある。ラグナルが歩み寄りを見せるがルーカスはそれを拒絶し続ける。二人の関係性が本作の緊張感を生む。そしてその結末はアイスランドの自然に集約されていく。この流れも見事ですね。