牧師が辺境アイスランドの地を撮影しながら進むという話のためか、映像の縦横比が最後までほぼ1:1なのが興味深かった。
実際に発見された写真から構想が練られたようなので、視聴者が当時の時代に没入できるようにされた工夫なのかもしれない。だがあの比率で島の壮大な自然を見渡すのは非常に難儀であった。
まずゴッドランド島がとても美しく過酷。神性を感じられるような荘厳さで原始の神々が今でもそこにいるような気持ちになる。あと犬がとても可愛い。
辺境の地に派遣された牧師ルーカスは謙虚で大人しい人間に見えて、現地の人とのままならない交流から時々傲慢さと浅慮さが垣間見えるのがとても嫌な意味で人間らしい。
あからさまに見下してる訳じゃないしむしろ相手を理解しようという姿勢も見せるのだが、現地の人々の言葉や態度の端々から宗主国側の人間を快く思わない心情が見えてつらい。
ルーカスも悪い人間ではないはず。だが自分の狭い視野から抜け出そうとせずそれすら気づかない精神の未成熟さがコミュニケーションの機能不全を加速させている気がする。あの狭い映像比率はルーカスの狭小な価値観を表してるのではないかと思えた。
