ぶみ

ブギーマンのぶみのレビュー・感想・評価

ブギーマン(2023年製作の映画)
3.5
暗い顔してると、来るよ。

スティーヴン・キングが上梓した短編小説『子取り鬼』を、ロブ・サヴェッジ監督、ソフィー・サッチャー主演によるホラー。
母親を突然亡くした姉妹が、得体の知れない何かと対峙する姿を描く。
原作は未読。
主人公となる女子高生・セイディをサッチャー、妹・ソーヤーをヴィヴィアン・ライラ・ブレア、父親・ウィルをクリス・メッシーナが演じているほかデヴィッド・ダストマルチャン、マリン・アイアランド等が登場。
物語は、ソーヤーが家の中で「何か」を目撃したことを筆頭に、徐々に「何か」が一家に迫りくる様が描かれるのだが、最初は、「何か」がわからず、物語が進むにつれ正体が明らかになっていく展開は、まさにホラーの王道そのもの。
特に、序盤から、閉まっていたはずのドアが開いたり、そこから何かの視点を感じたりと、ドアをキーワードとして、恐怖を煽ってくるものになっているとともに、中盤までは、セイディの高校でのやりとりが描かれるため、ジュブナイル・ホラーとしても楽しめる仕上がりとなっている。
何より、セイディ演じるサッチャーを本作品で初めて知ったのだが、端正な顔立ちと透明感溢れる佇まいは、広瀬すずを彷彿とさせるものであり、今後の活躍に注目したいところ。
突拍子もないような展開があるわけではないので、ホラーとしては、ある意味、地に足がついている内容であるとともに、時折、あまりにも映像が暗すぎて、何が起きているのかわからない部分があるものの、魅力ある主人公が最後まで物語を引っ張っていき、青春ホラーとしても悪くない出来栄えであり、ジワジワとした恐怖を堪能することができる夏にピッタリな一作。

恐怖がある所に課題がある。
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