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コヴェナント/約束の救出のぴーとのレビュー・感想・評価

コヴェナント/約束の救出(2023年製作の映画)
5.0
「命の恩人」という言葉を呪いと表現するほどの重さを痛感した。

こういうのダメなんすよ~戦場で元々は敵対していた関係だったようなふたりの友情~みたいなのは設定だけで勝手に想像して泣けるくらい弱いんですよね~。

見てしまうともはや映画の内容の8割…いや9割は把握できてしまいそうな予告編をできることなら観ないように本編を先に観たかったところではあるけど…他の映画を観る時に予告で流れてしまうし回避するのはほぼ不可能に近いのがなんともはがゆい、しかし展開がある程度わかっていてもこの物語と演出と演技は十分想像を超えていて見応えのあるものだった。

キンリーとアーメッドのどちらも面構えというか眼力がすごく良い。
ふたりとも感情表現を表情やしぐさであんまり表現しないのがきっとお互いの置かれた立場や状況の影響もあるんだろうけどもわずかな表情の変化とか眼力で伝わってくるというか、とにかくふたりともオーラみたいな凄みがあるんだよね~とくにアーメッドの安定感というかできる男感が最高。

中立的な視点ではなくタリバン側を悪みたいなポジションに据えてはあってアメリカ側に傾いてはいてもそれはあくまでもよくあるアメリカ万歳映画でもなくキンリーとアーメッド視点から見た時の物語的な不可抗力の敵という感じなので戦争についてとか実話だとかはいったん忘れて物語に集中できたように思う。

とはいえ何度となく「こんな争いになんの意味があるんだよ」とは思ってしまう…国家や宗教の対立だとか組織としてのメンツがどうとか理由はあるんだろうけどただ平穏に暮らしたいだけの人がどうしてここまで巻き込まれなきゃならないのかとか個人的にはなんの恨みも面識もない会ったばかりの人間同士がなんで殺し合わなきゃならないんだとかはどうしても脳裏をよぎってしまうな…。
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