Masato

コヴェナント/約束の救出のMasatoのレビュー・感想・評価

コヴェナント/約束の救出(2023年製作の映画)
4.1

ガイ・リッチー監督によるミリタリーアクションドラマ

最近多作傾向のガイ・リッチー、らしくない社会派のミリタリー映画を監督。まず第一印象がめっちゃ見やすい、めっちゃ分かりやすい。っていうこと。さすが軽快な作風でお馴染みの監督なだけあって、シリアスな物語でもものすごくテンポが良くて軽妙。

アクションの配分やドラマの挿し込み方、見ている人に一切無駄なことを見せない、よそ見をさせない素晴らしい作り。展開数が少ないのにここまで面白い2時間なのは流石だった。逆にあっさりしすぎて、このジャンル特有の重さを感じさせないのは好みが分かれるかも。個人的にはこれはこれで好き。

分かりやすいガイ・リッチー節は封印しているものの、所々に監督らしさが出た演出があってニヤリとした。安定のスローモーションや素早いカット割りで主人公の記憶を掘り起こしていくシーンなど、普段はコミカルな雰囲気を出すために使われるものがシリアスに上手く利用されていて良かった。

あくまでも2人の関係性はリアル。タリバンが敵であることは共通しているが、あくまでも仕事の関係。それでも共助関係にあって命を預けたパートナーであったことは確かであり、決して濃密な友情の話ではないものの、密かに描かれる2人の絆は良かった。こうした友情は現実にもたくさんあったことがよく分かる。また、アフガニスタンで通訳をした現地の人の保護をマトモにせず、消耗品のように扱っている搾取を指摘している物語としても社会性はあった。通訳にスポットを当てた映画はなかったので、本作でその存在と扱われ方を知れて良かった。

ミリタリーアクションとしては及第点。娯楽大作を経験してきた監督ならではの常に緊迫したアクションシーンは見事だが、リアリティや迫力としてはその手の監督のピーター・バーグの「ローン・サバイバー」やマイケル・ベイの「13時間」には及ばずといったところ。特にリロードシーンが全然存在しないところは気になってしまった。


余談
上映中ずっとヒソヒソ声で喋ってる親子がいて気が散って仕方なかった。あっちは聞こえてないつもりだけど、周りはめっちゃくちゃ耳障りな音として聞こえてんのよ。こういうことあると映画館でみるの躊躇しちゃう。
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