ククレ

コヴェナント/約束の救出のククレのネタバレレビュー・内容・結末

コヴェナント/約束の救出(2023年製作の映画)
3.4

このレビューはネタバレを含みます

「ミリタリーエンタメアクション」としてはとても面白かった!マーク・ウォールバーグの「ローン・サバイバー」みたいな絶体絶命の脱出劇で、ものすごい緊迫感!でも、見終わった後に爽快感はないねん…。それよりも「アメリカ軍への怒り」が沸いてきたで!

以下はネタバレ…




ジェイク・ギレンホールはいつもながら安定した演技。でも、中盤は寝てばかりやで。アーメッドは命がけでキンリーを助けるけど、別に固い絆や友情があったわけではないんやね。ただ「アメリカのビザ」が欲しかったのと、タリバンに子どもを殺された恨みがあっただけのこと。

ところが、キンリーが救出されたのにアーメッドはどこにいるのかわからない。当たり前のようにアーメッドも保護されてると思ってたから驚いた。あのまま帰らされたんやな。帰国後、どうにも寝覚めの悪いキンリーはあらゆる手を使って助けようとするけど、結局協力してくれたのはアメリカ軍ではなく、民間軍事会社。こらこら、それはないわ。

だからなのか、二人が再会するシーンでもあまりお互いに感動はない。キンリーは助けてくれたお礼をなぜ言わないんやろか?窮地のアーメッドも、助けに来てくれたと思わないのは、アメリカに裏切られてるからもう信用してないんやろうな。この辺りでも二人の間の絆が微妙なのがわかる。

ダムの銃撃戦に疑問。ダムに向かってあんなにミサイル打っていいものか?タリバンを大量殺戮するのは正義なのか?そもそも、アメリカのアフガン侵攻に正当性はあるのか?いろいろ考えさせられたわ…。大佐の計らいで何とかビザは手配してもらえたんやから、せめてキンリーは帰国したらちゃんと自分の会社で雇ってあげるんやで!

ラストの字幕で絶句。結局アメリカは、20年以上アフガニスタンに介入してきたのに、政治的理由で撤退。その後はあっさりとタリバンが政権掌握してる。アメリカ軍に協力した通訳たちは家族もろとも300人以上も処刑されてる…。なんとかできなかったのか?利用するだけ利用して切り捨てるのはアメリカの常套手段。この映画では「美談」みたいに描いてるけど、これは実話ではないんやね。見殺しにされている何百人ものアフガン人がいることを忘れてはいけないんやな。
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